去勢・避妊手術

犬と猫の去勢手術と避妊手術は、人と共に暮らす動物のクオリティーオブライフを支える獣医学的、習性行動学的に大切な手術です。

雄犬は発情した雌犬に会ったり、交配の経験があると日頃も外向きな意識を持ち、時には行動を制御されると、飼主に反抗したり、隙をみて自由外出(逃走)をしたりして、事故に遭ったり、迷子になり易く、周囲に迷惑をかけることになります。

去勢手術による身体的な予防効果

  • 睾丸の腫瘍
  • 前立腺の病気
  • 排便困難、排尿の異常
  • 肛門周囲の腫瘍
  • 会陰ヘルニア
  • 皮膚の病気

避妊手術による身体的な予防効果

  • 卵巣の病気
  • 子宮の病気(子宮蓄膿症など)
  • 乳腺の腫瘍(乳がんなど)
  • 皮膚の病気
  • 偽妊娠など

行動学的効果(本能的な問題行動を抑制)

  1. 情緒的、感情的に安定する。
  2. 性に関わる強い守備行動や威嚇、攻撃性を低くすることができる。
  3. 発情による室内の汚れを防ぐ。
  4. 発情による他の動物への悪影響を防ぐ。
  5. 飼主への注目度が高まりしつけがしやすくなる。
  6. 無駄吠え、攻撃、放浪、徘徊、まちがった排泄を防ぐ。
  7. リーダーになろうとする意識が低くなり家族として暮らしやすくなる。

社会的効果(社会の一員としてふさわしい動物になる)

  1. 望まれない繁殖を防ぐことができる。
  2. 外出時の、他の動物への関心度を低くして無駄吠えやケンカを防ぐ。
  3. 外での排便、排尿回数を減らしマナーを守ることができる。
  4. 周囲への迷惑度を大きく下げることができる。
  5. 人に優しく、しつけがしやすくなる。
  6. 捨てられる動物を確実に減らし動物の福祉に役立つ。

手術に適した年齢

去勢手術や避妊手術はワクチンの接種が終わった生後6ヶ月頃から行えます。この時期は加齢による病気の心配がなく、体脂肪も少ないため、手術を受けるリスクが少なくて済みます。何歳になっても手術は出来ますが、最も効果的な時期は、雄では雄としての行動や意識が強くなる前、雌は最初の発情の前に行うことで乳がんの発生を防ぎます。動物たちも高齢になると性に関わる病気は確実に多くなり、その頃には他の病気をも併発しますので、手術のリスクが高くなってしまいます。

手術後に飼主として心がけること

  • 食欲にまかせて、不規則に食事を与えない。
  • 必要であればローカロリー食を利用して肥満を防ぐ。
  • 飼主との遊びを増やして、活気ある生活をさせる。