犬と猫の去勢手術と避妊手術は、人と共に暮らす動物のクオリティーオブライフを支える獣医学的、習性行動学的に大切な手術です。
雄犬は発情した雌犬に会ったり、交配の経験があると日頃も外向きな意識を持ち、時には行動を制御されると、飼主に反抗したり、隙をみて自由外出(逃走)をしたりして、事故に遭ったり、迷子になり易く、周囲に迷惑をかけることになります。
去勢手術による身体的な予防効果
- 睾丸の腫瘍
- 前立腺の病気
- 排便困難、排尿の異常
- 肛門周囲の腫瘍
- 会陰ヘルニア
- 皮膚の病気
避妊手術による身体的な予防効果
- 卵巣の病気
- 子宮の病気(子宮蓄膿症など)
- 乳腺の腫瘍(乳がんなど)
- 皮膚の病気
- 偽妊娠など
行動学的効果(本能的な問題行動を抑制)
- 情緒的、感情的に安定する。
- 性に関わる強い守備行動や威嚇、攻撃性を低くすることができる。
- 発情による室内の汚れを防ぐ。
- 発情による他の動物への悪影響を防ぐ。
- 飼主への注目度が高まりしつけがしやすくなる。
- 無駄吠え、攻撃、放浪、徘徊、まちがった排泄を防ぐ。
- リーダーになろうとする意識が低くなり家族として暮らしやすくなる。
社会的効果(社会の一員としてふさわしい動物になる)
- 望まれない繁殖を防ぐことができる。
- 外出時の、他の動物への関心度を低くして無駄吠えやケンカを防ぐ。
- 外での排便、排尿回数を減らしマナーを守ることができる。
- 周囲への迷惑度を大きく下げることができる。
- 人に優しく、しつけがしやすくなる。
- 捨てられる動物を確実に減らし動物の福祉に役立つ。
手術に適した年齢
去勢手術や避妊手術はワクチンの接種が終わった生後6ヶ月頃から行えます。この時期は加齢による病気の心配がなく、体脂肪も少ないため、手術を受けるリスクが少なくて済みます。何歳になっても手術は出来ますが、最も効果的な時期は、雄では雄としての行動や意識が強くなる前、雌は最初の発情の前に行うことで乳がんの発生を防ぎます。動物たちも高齢になると性に関わる病気は確実に多くなり、その頃には他の病気をも併発しますので、手術のリスクが高くなってしまいます。
手術後に飼主として心がけること
- 食欲にまかせて、不規則に食事を与えない。
- 必要であればローカロリー食を利用して肥満を防ぐ。
- 飼主との遊びを増やして、活気ある生活をさせる。