ヘルスチェック

近年の医療の進歩にともない、人間の平均寿命は延びてきました。また、人間と同様にイヌやネコの平均寿命も、飼育環境や食餌内容の向上、予防を中心とした獣医療の進歩などに比例して延びてきています。

ところが、体調が悪ければ直ぐに病院へ行くことができ、しかも人間ドックや癌検診等の定期健康診断によって病気を早期発見できる人間とは異なり、動物は自分の体調不良を訴えられないため、病状がかなり進行してから初めて診察を受けるケースが非常に多いのも事実です。

人間と同様にイヌやネコにも高齢性疾患があり、代表的なものは心臓病、腫瘍および泌尿・生殖器疾患、関節炎などであるといわれています。その他、皮膚の病気なども多く見られます。

心臓病は、犬糸状虫症(フィラリア症)、僧帽弁閉鎖不全(人間でいう心臓弁膜症)が進行して心不全になるもの、この二つが主に見られます。フィラリア症は予防をしていなければ年齢に関わらずみられますが、やはり8歳以上になると発生率が高くなります。僧帽弁閉鎖不全は7歳頃から増加するという報告もあります。

また、生殖器疾患として多く見られる病気には、メスには子宮蓄膿症(人間でいう子宮内膜炎)という病気があり、去勢をしていないオスでは睾丸の腫瘍などが8歳頃から多くみられます。乳腺腫瘍(癌)という病気も年をとるにつれて増加してきます。

人間においても動物においても、病気を早期に発見し、できるだけ早くその病気に対する管理を開始すれば、たとえ治らない病気であっても、進行を遅くすることは可能です。また、高齢動物のQ.O.L.(クオリティ・オブ・ライフ)といわれる生活の質を、より良い状態に保つこともできるのです。

したがって、7歳(人間で40代)からは1年に1回(1年で人間の4歳に相当するため)、10歳以上で1年に2回の定期健康診断をお勧めします。全ての病気について早期発見が可能なわけではありませんが、一般的な身体一般検査、血液検査、尿検査、レントゲン検査、超音波検査、心電図検査などによって得られた結果から、その動物の体の普段の状態を把握しておくことが重要なのです。

家族の一員である動物たちには、ぜひとも定期的な健康診断を受けさせてあげてください。